彼が音楽が大好きなことはインタビューの初めにはっきりと感じることができました。子供のころすでにヒッピーの音楽、特に「The Grateful Dead」から影響を受けたと言います。80年代にはパンクロックに夢中になり、パンクアルバムのレーベル「Epitaph」を発見して以来、将来絶対ここで働きたいと心に決めたと言います。

1991年、当時22歳だったジェフは「Eitaph」での仕事を志望しました。面接に行ったとき、会社のドアを開けたのはNOFXのフロントマン、Fat Mike。当時のジェフはこの有名なミュージシャンがドアを開けたことなど気が付かなかったと言います。彼の頭はこのお給料ももらえない見習いの仕事に就くことでいっぱいだったのでしょう。無事採用され、見習い期間修了後、同社に就職することになりました。Fat Mikeとはその後親しい仲に...。

「当時は4つか5つのバンドしかいなかったんですよ、うちの会社。NOFXはそのうちの一つで、3か月ぐらい経ってから、ワ～、面接でドアを開けてくれたのFat Mikeだったんだ、ってわかりました」。

そのきっかけはほんのつまらない口論だったと言います。当時もBirkenstockを履いて仕事をしていたジェフ。Fat Mikeはそんなスタイルにうんざりしていました。ヒッピーのサンダル履いてパンクレーベルで仕事？絶対ダメ！そこから口喧嘩になり、最後にジェフがパンクもヒッピーも同じだ、パンクロッカーはヒッピー世代の親みたいになってしまった自分にイライラしているだけだ、と主張したと言います。

「そんなコメントにびっくりして、僕をやっつけるためにこの歌を書くぞ、って決めたらしい。それで、『Jeff wears Birkenstocks?（Birkenstockを履いているジェフ？）』がNOFXの『Punk in Drublic』っていう新しいアルバムに収録されたんです。ハテナマークがついてるタイトル。ハリウッド・パラディアムであったライブで、バンドのメンバー全員が僕を外に連れ出して、バンのドアを開けてステレオをかけた。初めてこの曲を聴いたのはその時、ワオって思いました」。

もちろん、ジェフはこれがお茶目な嫌がらせだったことは十分承知していました。そうはいっても、NOFXが自分をテーマにした曲を書いてくれたことはとても嬉しかったと言います。しかもそのアルバムはこのバンドのアルバムの中でも最も売れたアルバムの一つになったのです。

Fat Mikeとはそれ以来親しい友人関係にあります。「Fat Mikeは最高だよ。街にいる時は一緒に食事をしたり、ラスベガスで毎年あるパンクロッカーのためのボーリングトーナメントに行ったり。酔っぱらったパンクロッカーがボーリングしてるの見るのってすごく面白いよ」。

仕事を始めたジェフにとってBirkenstockは初めから理想的な作業靴だったそうです。「とにかく履き心地が良いし足にもいい。これなら何時間でも立っていられる。ほかの靴じゃ疲れちゃうよ。最高の靴だよ、格好悪いなんて言う人もいるけどそんな意見なんてどうでもいい」。これがジェフの意見。Fat Mikeが嫌いな理由をジェフはこんな風にシンプルに分析しています。「あいつはね、ヒッピーの靴だって信じてて、俺はパンクだからヒッピーとは何のかかわりも持ちたくないってわけ。でもね、あいつが思っているよりヒッピーとパンクって共通点ってたくさんあるんだよね」。

ロサンジェルスでの訪問時にジェフが私たちのためにFat Mikeとのインタビューを計画してくれました。このインタビューでの唯一の条件は？Stella Artoisというメーカーのビールをたくさん持参しろ、とのこと。Fat Mikeとのインタビューは大変面白いものになりました。予想通り、NOFXのフロントマンは怒っているの様子も見せてくれました。「Birkenstockを履いているような奴がパンクのレーベルで働いているなんてダメだよ。あんなの履いているの不気味なヒッピーだけだって！パンクロッカーはブーツだ」！そんな強い感情を持っていただけに歌詞を書くのも簡単だったようです。「40分で仕上がったよ。ジェフに嫌がらせをするためのバカみたいな歌を書きたかっただけだし」とFat Mike。

苛立ちはパンクという音楽の根源のようです。「Birkenstockよりずっと履き心地が良い靴がどれか知ってる？」と最後にFat Mikeが私たちに問いかけました。答えようとする前に、彼はパンクハイヒールを一足見せてくれました。「このセクシーな一足見てみろよ。俺の靴箱はこれでいっぱいになってるよ」！