イリノイ州プラノで子供時代を過ごしたコールは、小さい頃すでに音楽ビデオとラップへの情熱に目覚めたと言います。彼が7歳の時に初めて買ったアルバムは50 Cent。数年後盛り上がり始めたシカゴのラップ音楽に夢中になりました。当初制作した音楽ビデオはお母さんのビデオカメラを借りて撮影したほんの短いライブ演奏のクリップでした。「母は僕のアイディアをいつもサポートしてくれました」と語ります。

コールと彼の姉妹は幼い時に父親を失って、シングルマザーだった母親は子供たちを育てるために様々な仕事をもって働いていたと言います。Never give upを信条としていた母の強さはコールに大きな影響を与えたようです。本当に大好きな動画撮影でプロになろうとシカゴに移住した彼には、はっきりとした目標がありました。何かを変えたい。

「シカゴには圧倒されました。シカゴの人は、みんなすごい勢いで働く人たち」。3つのグラミー賞を受賞した「Chance the Rapper」のようなアーティストたちが、数年前までカセットテープを道端で配っていたことなど、面白い話も聴かせてくれました。「4年前にはね300人ぐらい入る小さなクラブでライブやっていたんだけど、今はスタジアムだからすごいよね。クレイジーな話」。

このアーティストを支援しようと心に決めたコール。彼は「Lyrical Lemonade」というプラットフォームを創設して、ショー、イベント、ブログ、音楽ビデオの企画を始めました。

コールは常に高いスタンダードを目指しています。彼のスタイルは「カラフルで、クレイジーで挑発的」。アイディアが現実になることにとても魅かれるという彼。「僕のビデオは音楽を超えて、見る人の心に響くものであって欲しい。僕はサウンドに息吹を与えたいんだ。『嫌いな歌だけどクリップは良いよね』って言ってもらいたい」。

今日ではMigos、Riff Raff、Lil Pump、Famous Dex、Yung Pinch、Lil Uzi Vert、Playboi Cartiなどのスーパースターが彼に動画制作を依頼していると言います。コールが正しい道を進んでいることに間違いはないようです。

このジャンルが大好きだとはいえ、金歯やドラッグ、パーティなどには全く興味がないコール。「このシーンで生き延びていく中で一番難しいのは、いつもシーンの真ん中にいて、そこにいる人たちと親しくなりながらも、同じようなライフスタイルを送らないこと」。彼はこのシーンを見守る傍観者でありたいと言います。

彼にとっては、本来の自分を維持しながら、周りの人に認めてもらえることが大切だからです。それは彼のファッションでも同じこと。彼はシカゴの南での撮影にわざとBirkenstockを履いて向かったときの話をしてくれました。「チンピラがうろうろしてて犯罪もすごく多いところに白人の男の子がBirkenstock履いていくわけ。楽しかったよ。みんなクールでさ。『これって自分らしい』って思った」。それ以来コールはBirkenstock以外の靴は履かないと言います。

今日Birkenstockはコールのトレードマークにもなっています。そして彼の若いファンたちも履き始めるようになりました。「若いファンが僕のロゴの絵付けしたBirkenstockの写真とか送ってくれるんだ。クールだよね」。特にグラフィックアーティストのPapikodoneがLyrical Lemonadeのロゴからレモンを取ってサンダルに描いてくれたプレゼントには特別な思いがあると言います。

Hurt Everybodyのメンバー、Supa Bweの新しい動画の撮影に同伴させてもらいました。Supa Bweはコールが動画制作のキャリアを始めた当初のアーティストの一人です。彼にとってコールは「アーティストにチャンスを作ってくれる、熱意たっぷりの企画エージェントであり、シカゴの触媒のような存在」です。彼らの最初の動画は短期間で80,000回再生され、今回のものは100万回突破を予想しているとのことです。コールが手掛けたものは必ず成功すると確信しているSupaBwe。「コールは本当にたくさんのアーティストの成功に貢献してきたんだ。本当はねここのラップ業界はみんなでコールに大感謝してなきゃいけないんだよ。Birkenstockをこの業界に持ってきたのはコールだよ。あいつはいつでもBirkenstockを履いてる、毎日、どのライブでも、雨でも雪でも。

21歳と若いとはいえ、彼には自分がやりたいことははっきりと見えています。一年後にこの業界、市場が変わってしまったらどうするの、と彼の選択に疑問を投げかけた兄妹の話をしてくれました。

コールはこう答えたと言います。

「自分が業界を市場をクリエイトすればいいだろう？」

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